リコーダー製作者      -      ヴァンサン・ベルノラン

2006年、優秀楽器製作者賞を受賞。

 

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多くのリコーダー演奏家の方々から問い合わせがありましたので、リコーダー、主に私のアトリエで製作された物の一般的なお取り扱い方法について記載します。

保障に関しては、製作過程で起きた損傷に関してのみで、間違った取り扱い方法によっての破損は保障外です。

リコーダーの寿命は、取り扱い方法によって大きく変わります。取り扱いには十分注意し、必要な道具は揃えてください。

 

調整

調整期間、初めの週は10分間、2週目は20分間、3週目は30分間、4週目は40分間演奏してください。演奏前には必ず、ヘッドジョイントを温めてください。だいたい1日に1時間程度の使用が長持ちさせるためには良いでしょう。長時間の演奏が必要な場合は、二つの楽器を交互に使用することをお勧めします。使用後は解体し、机の上に寝かせてよく乾かしてください。

結露

結露が発生するのは、管の温度と吹き込む息との温度差によるものです。ご使用の前には、ウエストに挟むなど、ヘットジョイントを温めてください。詰まりを取る為に、息を吹き込むのはお止めください。吹き込む息によって結露の発生を招きます。演奏を一時中断する際(コンサート・リハーサル・レッスン)は、楽器がひえるのを避けるために、ウエストに挟む、又は手で温めて下さい。結露によって、管が湿ると楽器の破損に繋がりますので、ご注意ください。また、湿気はカビの発生の原因にもなります。

使用環境

破損や変形を避けるためには、20度の気温と最低50 %の湿度が必要です。楽器のそばに湿度計を置くなどして、管理をしてください。乾燥している場合は、加湿器の使用をお勧めします。加湿器に投資をする方が、楽器の値段を考えると経済的といえます。しかも、十年以上は使用できることを思うとなおさらでしょう。とくに、木製の楽器をお持ちの方は、湿度は非常に重要な要素です。特に、冬の外気温が零度以下に下がるときなどは、湿度が30 %まで下がることがあります。一年で一番冷え込む時期には、加湿器の変わりに、ラジエータに付ける加湿器のご使用も可能です。

 

カビ

黒かびは一般的な呼び名であるが、分類上は真菌の中の不完全菌類に含まれるアスペルギルス属1アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)を指す場合が多い。このカビは木目に入り込み、、除去するのは非常に難しいです。一般に、気道に発生することが多いですが、稀に吹き口や頭部管の指孔に発生する事もあります。

そう言った点において、漂白剤は画期的な効果があります。漂白剤によって、真菌やバクテリアなどから守ることができます。リコーダーのヘッド部分を下にして、頭部管の窓から、薄めた漂白剤を柔らかい刷毛やピペットを使用て数滴垂らして下さい。リコーダーを分解する必要はありません。カビに悩まされている場合は、6ヶ月に一度は十分な注意の上、行って下さい。施行の際は、流しの上で行うなどして、新しいカーペットを傷めないようにしてください。漂白剤の匂いが気になる方は、薬局で外科治療に必要な除菌剤の購入をお勧めします。

グリス、オイル塗り

必要な際は、ジョイント部分に脂を塗ってください。コルクグリス(すべての楽器店で販売)の代わりに、パラフィンオイルやワセリン(薬局)もお使いいただけます。

リコーダー内部には、オリーブオイルを塗ってください。オリーブオイルは、乾燥を防ぐ効果があり、オイルが孔に凝固しずらいので、その為の音色の変化を避けることができます。しかも、酸敗せず、匂いも強くありません。できれば、ビタミン豊富なエキストラバージンオイルが良いでしょう。質の良いサラダオイルでも代用できます。アーモンドオイルの使用もよく聞きますが、以下の要素からあまりお勧めしません:酸化し易く、匂いもきつく、長い間の使用によって凝固し易い。

オイル塗りは、6ヶ月の間は1ヶ月に一度、その後は6ヶ月に一度施工してください。

オイルは、気道やブロック部分には、結露を防ぐため絶対に塗らないで下さい。

リコーダーの外部には、シミや指の跡から守るために、液状の蜜蝋を塗ってください。蜜蝋は、Johnsonn Libéronのものをお勧めします。表面に薄く塗り、1時間ほど乾かしたあと、柔らかい布で余分な分をふき取ります。

掃除

 石鹸水を含ませた柔らかい布で拭いてください。Hascherpurrの染み抜きのような洗剤は、明るい色の木についた指の跡を消すなどの、緊急時に使用する事もできます。ヨーロッパ産の木材でニスの塗っていないリコーダーがべたついた時は、アセトンや染み抜き剤などで落とす事もできます。反対に、グルナディルやローズウッドなどの熱帯木材に科学溶剤の使用は絶対にやめてください。これらの掃除の跡は、蜜蝋を塗ってください。

諸注意

リコーダーのブロックは絶対に分解しないで下さい。ブロックを外し、ズボンで数回拭いただけでもリコーダーの音色に影響が出る場合があります。修正・加工を試みたリコーダーは、保障対象外です。保障期間内は、何度でも無料でアトリエで修理致します。

アトリエに送付する際は、大きく、しっかりとしたダンボールをお使いください。郵便局にあるワイン専用の箱がお勧めです。送付の際は、保険を掛けてください。こちらで送付する際に使用するエアーパックの再利用は可能ですが、ダンボールは新しいものをお使いください。梱包用品に投資する方が、楽器を破損するよりも有効です。宛名・宛先は明確に記載し、内部にも宛先・宛名を配達不明の場合に備えて、同封してください。

 

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